授業プラン「酸とアルカリ」の実践記録

授業者:箕野 越好

はじめに

筆者の勤める小学校は、農業を主とする地域にあります。子どもたちのほとんどは、二世代で暮らしている家から通っています。全校児童数は140名程度で、筆者が実践した6年生は、17名でした。

17名のうち1名は、4年生の3学期から不登校気味で、卒業までずっと保健室登校だったので、本レポートの「酸とアルカリ」の授業には参加していません。以下報告する選択肢の人数の合計が多くても16名なのはそのためです。

筆者は、学年始めに勉強が好きかどうかのアンケートをとっていました。この時、勉強が好きと答えた児童の割合は44%でした。この数字は、6年生としては高い方だと考えられます。翌年赴任した小学校の6年生で同じアンケートをとったところ、勉強が好きと答えた児童の割合はわずかに10%でしたから、44%がいかに高い割合であるかが分かります。

このレポートは、筆者が6年生の担任として理科の授業に臨んだ2007年度の実践の記録です。

1.授業プランの概要

本実践に用いたテキスト(授業プラン)は、筆者のオリジナルです。

授業プランを作成する際に、参考にした主な文献は、次のようです。

○「生命 40億年はるかな旅 第1巻 海からの創世」(NHK出版 1994年)

○「新しい理科の教科書 小学6年」(左巻健男・生源寺孝浩 編著 文一総合出版)

○「教科書よりわかる理科 小学6年」(江川多喜雄 監修 高田慶子 編著 合同出版)

筆者は、数年前から仮説実験授業研究会の授業書を使って授業をいくつかしてきました。「水溶液の性質」についても授業書を参考にして授業を組み立てたいと考えたのですが、この分野の授業書は見つかりませんでした。そこで、上記の文献などを用いて、仮説実験授業の方法を参考にしながら、本授業プランを作成しました。

授業プランは全部で82ページから成っています。授業時数としては、2ヶ月強の26時間程度を当てました。

⑴酸のはたらき

第1週(3時間分)

1ページ:クエン酸

2:レモンとクエン酸

3:クエン酸とリトマス紙

4:レモンじるとリトマス紙

5:水とリトマス紙

6:お話1「クエン酸について 水溶液とは」

7:米酢とリトマス紙

8:酢酸とリトマス紙

9:お話2「米酢と酢酸 様々な酢」

第2週(3時間分)

10:ブドウとリトマス紙

11:酒石酸の味

12:酒石酸とリトマス紙

13:拡充問題1─リンゴとリトマス紙

14:拡充問題2─リンゴ酸の味

15:拡充問題3─リンゴ酸とリトマス紙

16:お話3「酸と酸性」

17:氷酢酸とリトマス紙

18:カルピスは酸性か

19:お話4「乳酸と乳酸菌」

第3週(3時間分)

20:ペットボトルに水と二酸化炭素を入れてよくふると

21:二酸化炭素の水溶液の味

22:二酸化炭素の水溶液は酸性か

23:お話5「二酸化炭素と炭酸水」

24:お話6「塩酸」

25:うすめた塩酸の水溶液は酸性か

26:うすい塩酸の中に水にとけない炭酸カルシウムの白い粉を入れるとどうなるか

27:うすい塩酸に中に貝がらを入れるとどうなるか

28:お話7「炭酸カルシウムを含むいろいろなもの」

29:クエン酸は炭酸カルシウムをとかすか

30:酢酸も炭酸カルシウムをとかすか

第4週(3時間分)

31:炭酸水も炭酸カルシウムをとかすか

32・33:石灰岩を3日ほど炭酸水につけておくと石灰岩の重さはどうなるか

34:お話8「岩をもとかす炭酸水─鍾乳洞」

35:スチールウールを塩酸の中に入れるとどうなるか

36:アルミニウムを塩酸の中に入れるとどうなるか

37:人体に大量に含まれ、葉緑素を作るのにも使われるマグネシウム

38:マグネシウムを塩酸の中に入れるとどうなるか

39:銅を塩酸の中に入れるとどうなるか

第5週(3時間分)

40:炭酸水の中に鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅を入れるとどうなるか

41:クエン酸の水溶液の中にマグネシウムを入れるとどうなるか

42:お話9「酸性雨と硫酸・硝酸」

43:銅像と酸性雨

44:植物と酸性雨

45:コンクリートと酸性雨

46:お話10「生物の進化とマグネシウム」

第6週(3時間分)

47:塩酸の中で炭酸カルシウムがとける時に出てきたあわを集める

48:47ページで集めた気体は、石灰水を白くにごらせるだろうか

49:塩酸の中にマグネシウムを入れて出てくる気体は、石灰水を白くにごらせるだろうか

50・51:お話11「二酸化炭素と石灰岩」

52:二酸化炭素と正体不明の気体をシャボン玉にして、空気中での動きを調べる方法

53:気体が二酸化炭素の場合、シャボン玉は空気中でどのように動くか

54:塩酸とマグネシウムで出てくる気体の場合、シャボン玉は空気中でどのように動くか

55:お話12「空気よりも軽い謎の気体」

56:謎の気体のシャボン玉に火を近づけるとどうなるか

57:お話13「水素」

58:君も豆博士「ちがう気体が出てくるわけ」

⑵中性とアルカリのはたらき

第7週(3時間分)

59:砂糖水とリトマス紙

60:食塩水とリトマス紙

61:石灰水とリトマス紙

62:お話14「アルカリとアルカリ性、そして中性」

63:水酸化カルシウムと炭酸カルシウムの味のちがい

64:お話15「アルカリと苦味」

65:アンモニア水とリトマス紙

66:キンカンとリトマス紙

67:お話16「アンモニア」

第8週(2時間分)

68:石けん水は何性か

69:毛糸の服を洗うときに使う液体の洗剤は何性か

70:水酸化ナトリウムの水溶液とリトマス紙

71:水酸化ナトリウムの水溶液の中に毛糸を入れるとどうなるか

72・73:お話17「アルカリの水溶液はたんぱく質をとかす」

第9週(3時間分)

74:水酸化ナトリウム水溶液に鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅を入れるとどうなるか

⑶中和反応

75:水酸化ナトリウム水溶液と塩酸をまぜた水溶液にアルミニウムを入れるとどうなるか

76:お話18「酸とアルカリによる中和」

77:うすい塩酸とうすい水酸化ナトリウム水溶液をまぜ合わせて中性の水溶液を作る

78:77で作った水溶液はどんな味がするか

79:77で作った水溶液を蒸発皿に入れて熱するとどうなるか

80:79でできた白い粉はどんな味がするか

81:お話19「食塩ができる」

82:最後のお話「化学反応式」

2.選択肢の選択分布

【質問1】

ここに「クエン酸」という白い粉があります。

見た目には、砂糖や塩のように見えますが、どんな味がするのでしょう。

ア あまい ( 3 )人

イ からい ( 1 )人

ウ 塩からい ( 2 )人

エ すっぱい ( 7 )人

オ 味がない ( 3 )人

【質問2】

ガラス棒を用意し、ガラス棒をクエン酸の液につけて、ぬれたガラス棒の先だけをリトマス紙につけます。

どのように色が変わると思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 4 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 1 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる (10)人

エ 両方とも色は変わらない ( 1 )人

【問題1】

それでは、レモンじるをリトマス紙につけるとどうなるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる (12)人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 1 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 3 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題2】

ところで、水はリトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 1 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 4 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 2 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 9 )人

【問題3】

さて、この米酢は、リトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 6 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 8 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 2 )人

【問題4】

さて、この酢酸は、リトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる (11)人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 5 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題5】

ブドウもすっぱい味がすることがありますが、ブドウのしるをリトマス紙につけるとどうなるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 8 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 8 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題6】

酒石酸はどんな味がすると思いますか。

ア クエン酸と区別がつかないほどよく似たすっぱい味 ( 6 )人

イ 少しブドウの味がするすっぱい味 (10)人

ウ 味がない ( 0 )人

【問題7】

酒石酸も青のリトマス紙を赤くするのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる (13)人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 3 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題9】

少しすっぱい味がする飲み物に、カルピスがあります。このカルピスは酸性なのでしょうか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる(酸性) ( 2 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる (10)人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 1 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 3 )人

【問題10】

この二酸化炭素の水溶液は、どんな味がするのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア わずかにあまい ( 2 )人

イ わずかにすっぱい ( 1 )人

ウ 味がない (12)人

エ その他 ( 1 )人

【問題11】

味見をすると、わずかですがすっぱさを感じます。

それでは、二酸化炭素の水溶液は、酸性なのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる(酸性) (11)人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 4 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 1 )人

【質問3】

では今度は、先ほど作ったうすい塩酸の中に、炭酸カルシウムの白い粉を入れてみましょう。白い粉はどうなると思いますか。

ア 塩酸の中で白い粉が赤くそまる ( 4 )人

イ あわが出て、やがて白い粉がなくなる (10)人

ウ 白くにごって、やがて白い粉が底にたまる ( 2 )人

【質問4】

今度は、うすい塩酸の中に、貝がらをくだいて入れてみましょう。貝がらはどうなると思いますか。

ア あわは出ないが、貝がらがしだいにとけていく ( 3 )人

イ あわが出て、貝がらがしだいにとけていく (11)人

ウ 貝がらはそのままで何も起こらない ( 2 )人

【問題13】

例えば、クエン酸は炭酸カルシウムをとかすのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア クエン酸も炭酸カルシウムをとかす (12)人

イ クエン酸は炭酸カルシウムをとかさない ( 4 )人

ウ その他 ( 0 )人

【問題14】

それでは、酢酸も炭酸カルシウムをとかすのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 酢酸も炭酸カルシウムをとかす (14)人

イ 酢酸は炭酸カルシウムをとかさない ( 2 )人

ウ その他 ( 0 )人

【問題15】

それでは、炭酸(炭酸水)も炭酸カルシウムをとかすのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 炭酸も炭酸カルシウムをとかす (15)人

イ 炭酸は炭酸カルシウムをとかさない ( 1 )人

ウ その他 ( 0 )人

【問題16】

3日ほどたってから、石灰岩を炭酸水から取り出して水で洗い、完全にかわいてから再び重さを量ります。石灰岩の重さは以前と比べてどうなっているでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 以前よりも重くなっている ( 5 )人

イ 以前よりも軽くなっている ( 9 )人

ウ 重さは変わらない ( 1 )人

※実験データ

(例1)石灰岩の元の重さ131.90g→3日後131.75g(−0.15g)→6日後131.66g(−0.24g)

(例2)石灰岩の元の重さ209.04g→4日後208.83g(−0.21g)

【問題17】

4倍にうすめた塩酸の中に、鉄でできたスチールウールを入れてみましょう。スチールウールはどうなると思いますか。

ア あわは出ないが、鉄がしだいにとけていく ( 8 )人

イ あわが出て、鉄がしだいにとけていく ( 8 )人

ウ 鉄はそのままで何も起こらない ( 0 )人

【問題18】

それでは、今度はアルミニウムを4倍にうすめた塩酸の中に入れると、どうなると思いますか。

ア あわは出ないが、アルミニウムがしだいにとけていく ( 2 )人

イ あわが出て、アルミニウムがしだいにとけていく (14)人

ウ アルミニウムはそのままで何も起こらない ( 0 )人

【問題19】

それでは、このマグネシウムを4倍にうすめた塩酸の中に入れると、どうなると思いますか。

ア あわは出ないが、マグネシウムがしだいにとけていく ( 0 )人

イ あわが出て、マグネシウムがしだいにとけていく (16)人

ウ マグネシウムはそのままで何も起こらない ( 0 )人

【問題20】

それでは、今度は銅を4倍にうすめた塩酸の中に入れると、どうなると思いますか。

ア あわは出ないが、銅がしだいにとけていく ( 1 )人

イ あわが出て、銅がしだいにとけていく (14)人

ウ 銅はそのままで何も起こらない ( 0 )人

【問題21】

この炭酸水の中に、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅を入れると、どうなると思いますか。

ア 塩酸の時のように、銅以外は全てあわが出る ( 1 )人

イ 銅以外にもあわが出ない金属がある ( 4 )人

ウ どの金属からもあわが出る ( 3 )人

エ どの金属からもあわが出ない ( 7 )人

【問題22】

クエン酸の水溶液の中にマグネシウムを入れてみましょう。あなたはどう思いますか。

ア あわは出ないが、マグネシウムがしだいにとけていく ( 0 )人

イ あわが出て、マグネシウムがしだいにとけていく (13)人

ウ マグネシウムはそのままで何も起こらない ( 2 )人

【問題23】

まず初めに、炭酸カルシウムがとける時に出てきたあわ(気体)の正体から調べてみましょう。

さて、この気体を閉じこめた試験管の中に石灰水を入れてふると、石灰水は白くにごるでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 石灰水は白くにごる (12)人

イ 石灰水は白くにごらない ( 4 )人

ウ その他 ( 0 )人

【問題24】

今度は、塩酸の中にマグネシウムを入れて、同じ方法で出てくる気体を試験管に集めます。

さて、この試験管の中に石灰水を入れてふると、石灰水は白くにごるでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 石灰水は白くにごる (15)人

イ 石灰水は白くにごらない ( 1 )人

ウ その他 ( 0 )人

【問題25】

気体が二酸化炭素の場合、シャボン玉は空気中でどのように動くと思いますか。

ア シャボン玉は上へ上へと上っていく ( 1 )人

イ シャボン玉は下へ下へと下りていく (15)人

ウ シャボン玉はほとんど同じ場所のまま ( 0 )人

【問題26】

塩酸の中にマグネシウムを入れて出てくる気体の場合、シャボン玉は空気中でどのように動くと思いますか。

ア シャボン玉は上へ上へと上っていく (12)人

イ シャボン玉は下へ下へと下りていく ( 4 )人

ウ シャボン玉はほとんど同じ場所のまま ( 0 )人

【質問5】

今度は、このなぞの気体が入ったシャボン玉が、空気中を上へ上っていく時に、そのシャボン玉にマッチの火を近づけてみます。

シャボン玉は、火を近づけるとどうなると思いますか。

ア 大きくふくらむ ( 4 )人

イ ボッと音をたてて消える (11)人

ウ 空気中を下がり始める ( 1 )人

【問題27】

砂糖水はリトマス紙の色をどのように変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 0 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 8 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 8 )人

【問題28】

食塩水はリトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 1 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 2 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない (13)人

【問題29】

石灰水はリトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 3 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 5 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 8 )人

【問題30】

炭酸カルシウムと水酸化カルシウムをそれぞれなめてみましょう。

ア どちらも味がある ( 0 )人

イ 炭酸カルシウムには味があるが、水酸化カルシウムには味がない ( 2 )人

ウ 水酸化カルシウムには味があるが、炭酸カルシウムには味がない ( 3 )人

エ どちらも味がない (11)人

【問題31】

さて、このうすめたアンモニア水は、リトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 0 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる (16)人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題32】

ここに「キンカン」という虫さされの薬があります。

キンカンも強いにおいがします。どんなにおいがするかにおいをかいでみましょう。

このキンカンは、リトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 0 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる (16)人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 0 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題33】

ここに洗たく用の石けんの粉があります。この粉を水にとかして、石けん水を作ります。この石けん水は何性でしょうか。

ア 酸性 ( 0 )人

イ アルカリ性 (13)人

ウ 中性 ( 3 )人

【問題34】

ここに毛糸の服を洗うときに使う液体の洗剤があります。この液を水でうすめて、石けん水を作ります。この石けん水は何性でしょうか。

ア 酸性 ( 0 )人

イ アルカリ性 (12)人

ウ 中性 ( 4 )人

【問題35】

では、この水酸化ナトリウムの水溶液は、リトマス紙の色を変えるのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 青いリトマス紙の色だけが変わる ( 8 )人

イ 赤いリトマス紙の色だけが変わる ( 7 )人

ウ 青と赤の両方ともリトマス紙の色が変わる ( 1 )人

エ 両方とも色は変わらない ( 0 )人

【問題36】

水酸化ナトリウムの水溶液の中に、この毛糸を入れてみましょう。あなたはどうなると思いますか。

ア すぐに毛糸はあわを出してとける (10)人

イ しばらくすると毛糸の形がくずれていく ( 5 )人

ウ 何の変化もない ( 1 )人

【問題37】

水酸化ナトリウム水溶液の中に、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅を入れると、どうなると思いますか。

ア 塩酸の時のように、銅以外は全てあわが出る ( 9 )人

イ 銅以外にもあわが出ない金属がある ( 5 )人

ウ どの金属からもあわが出る ( 1 )人

エ どの金属からもあわが出ない ( 1 )人

【問題38】

水酸化ナトリウム水溶液(水100mlに対し水酸化ナトリウム12g)と4倍にうすめた塩酸(水3に対し濃塩酸1)をほぼ同じ量だけまぜた水溶液の中に、アルミニウムを入れると、どうなると思いますか。

ア アルミニウムはとても激しくあわを出してとける (16)人

イ アルミニウムは普通にあわを出してとける ( 0 )人

ウ アルミニウムからはほとんどあわが出ない ( 0 )人

【問題39】

さて、作業2で作った水溶液は、中性なのですっぱくも苦くもないはずです。

では、どんな味がするのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア 少しあまい味がする ( 3 )人

イ 少し塩の味がする (10)人

ウ 味がない ( 3 )人

【問題40】

今度は、作業2で作った水溶液を蒸発皿に入れて熱してみましょう。あなたは、どうなると思いますか。

ア 水気が蒸発して、後に何も残らない ( 1 )人

イ 水気が蒸発して、白い粉が出てくる (15)人

ウ 水溶液は蒸発しないでそのまま残る ( 0 )人

【問題41】

作業2で作った水溶液を蒸発皿に入れて熱すると、水気が蒸発して、白い粉が出てきました。では、この白い粉はどんな味がするのでしょうか。あなたはどう思いますか。

ア あまい味がする ( 1 )人

イ 塩からい味がする (15)人

ウ 味がない ( 0 )人

3.授業と子どものこと

学習は次のようなパターンで進めました。

テキストは、事前に全てを渡すのではなくて、その都度1ページずつ渡していきます。学習は「問題」を主に進め、どうなるかの予想を選択肢の中から選び、そのように予想する理由を簡単に発表させます。できるだけ少数意見から発表させます。友だちの意見を聞いて、先ほどの自分の予想を変えたくなった子は変えます。そして、実際に実験をして確かめます。

いくつか実験をくり返してから、それらの結果の意味付けをしたり考えをまとめたりするために、「お話」のページを読みます。

以上のように「問題」「予想」「討論」「お話」をくり返しながら、学習を進めていきます。

各時間(2時間続きのことが多い)の学習の終わりには、その時間に理解したことや感想などを作文に書かせます。子ども自身がその時間の学習を振り返るよい機会になりますし、指導者としても子どもたちがどのように理解したのかを知ることができます。

この「酸とアルカリ」は、子どもたちが大変楽しみにしていた学習でした。

それにはいくつかの要因が考えられます。

教科書では、「水よう液の性質」を教える際の薬品として、主に塩酸と水酸化ナトリウムを取り上げています。この2つの薬品は、子どもたちには馴染みのないものであり、いずれも危険なので実験中も取り扱いが制限されます。

一方、筆者の授業プランでは、酸との出会いは、口にすることができる食品添加物や果物ですから、味見をする楽しみがあります。

また、授業展開の中に予想を立てて、当たっているかどうかどきどきしながら実験を見る場面がありますから、当たっていても外れていても関心が持てたのでしょう。

ところでその実験ですが、この授業プランの中にはたくさんの実験が用意されています。その実験のほとんどは、教師がするようにしています。実験は、子どもたちに実証してみせることを目的にしているので、教師がするのです。もっとも、味見などは、希望者全員にさせましたが、全員が味見をすることを無理強いはしませんでした。教師が実験をしてみせれば、実験はほぼ必ず成功しますし、時間のロスがなくなって次々と学習が進みます。また、何よりも実験用具を全員分用意したり片づける手間も省けます。

この「酸とアルカリ」の学習をしている時に、この実験の意義について考えさせられることがありました。

酸の学習で、リトマス紙を初めて取り扱った時には、全員にリトマス紙を渡して色の変化を調べさせていました。ところが、砂糖水や食塩水、石灰水などの性質を調べる際にもリトマス紙を全員分配ろうとしたのですが、ある子どもから「先生、授業を進めて」という声がありました。それは、「自分たちがリトマス紙を使って実験する時間はいらないから、先生が見本をして、次々とたくさんの実験をしてほしい。」ということでした。そして、他の子どもたちもほぼそのように考えていたようでした。

「酸とアルカリ」の学習は、理科の時間にとどまらず、子どもたちの自主的な活動の中にも取り入れられました。

一つは、秋に持たれた「子どもフェスティバル」で、クエン酸・酒石酸などを使ったジュースのお店や、乳酸を含むヨーグルトのお店ができたことです。

もう一つは、「6年生を送る会」の6年生の出し物の一部に、ペットボトルの中に二酸化炭素と水を入れて振る実験と、水素のシャボン玉に火を近づける実験が取り入れられたことです。6年生の子どもたちが、体育館のステージで5年生以下の子どもたちに予想をたてさせてから実験をするという、異例な出し物になりました。

4.学習を終えての子どもの感想(全員分)

■ぼくが一番すごかったと思った実験は、塩酸が銅と金以外の金属をあわを出してとかしてしまった実験です。僕は、最初金属なんて溶けないと思っていたけれど、銅以外の金属が溶けたのでびっくりしました。マグネシウムはすごい勢いであわを出して溶けてすごかったです。

一番楽しかった実験は、ペットボトルに水を満タンに入れて、その中に二酸化炭素を半分まで入れてふった実験です。理由は、ふったらペットボトルがへっこんだからです。これらのすごかった実験や楽しかった実験をもう一度やりたいです。

■「酸とアルカリ」では実際味見ができる実験が一番楽しかったです。新しい薬品がでてくるごとに、少しずつ味見をしたりにおいをかいだりして、その薬品のことがよく分かりました。酸性のクエン酸、酒石酸、酢酸や、アルカリ性の水酸化カルシウム、石灰水なども実験で味見をしました。「酸性のものがすっぱくて、アルカリ性のものは苦い」ということが自分の体で確かめられたのでよかったです。また、「どうしてこんな結果になるのだろう」と思ったときに、なぜそうなるのか、説明があったのもよかったです。教科書にのっていなかったことも勉強できて、おどろくこともたくさんありました。今度は自分でいろいろな実験をしてみたいなぁ、と思いました。

■私は、理科の授業で一番おもしろく楽しかった実験は、シャボン玉の「なぞの気体」の実験です。シャボン玉にマッチの火を近づけると、どうなるかが一番おもしろかったです。次に、おもしろく楽しかった実験は、「銅像と酸性雨」で、学校の銅像に塩酸をたらしたらどうなるかの実験でした。

「なぞの気体」の実験では、まず予想をたてて、それから実験をしました。私は、どんな風にシャボン玉がなるのかが、すごくドキドキしていたし、結果がすごく気になりました。先生が実験をすると、ボッと音を立てて消えました。私は、この実験を見てすごくおもしろい実験だなぁ…と思いました。こんなおもしろい実験を見ることができたのでよかったです。この他にも、いろいろな実験をたくさんしました。実験の中でいろんなことが体験できて、知らなかった事を知ったり、おもしろい実験を見たり、その実験を少しやってみたりすることができたので良かったです。

■私は、理科の勉強をして楽しかったです。特に実験が楽しかったです。全部でだいたい45回も実験ができました。一番楽しかったのは、「シャボン玉に火を近づけたら、どうなるか」の実験です。どうなるか、すごくドキドキしながら実験を見ていました。ボッと音をたてて割れた時は、驚きました。他には、「シャボン玉に二酸化炭素が入っている場合、シャボン玉はどんな動きをするか」の実験も楽しかったです。

このテキストで勉強をして、いろいろな言葉を知りました。最初は、クエン酸や酢酸など何のことか分からなかったけれど、今では、20個(ぐらい)もの言葉を覚えられました。テキストには、教科書にものっていないものが出てきたり、実験ができたりして良かったです。最後に、HCl+NaOH⇒NaCl+H2O(塩化水素+水酸化ナトリウム⇒塩化ナトリウム+水)ということを知りました。改めて、理科の勉強は楽しいと感じました。

■ぼくが、この理科の授業の酸とアルカリで、特に勉強になったのは、水素のことです。この水素は、宇宙ができた時、最初にできた元素でした。ぼくは、二酸化炭素だと思っていました。だって地球ができた時だって、おおかた二酸化炭素で充満していたからです。だから、水素だと分かった時は、すごくびっくりしました。水素は、全ての元素の中で1番軽く、窒素の14分の1、酸素の16分の1、二酸化炭素の22分の1の重さしかありませんでした。しかも、この宇宙の中で、1番数が多い元素だったのです。ぼくは、水素がすごく活躍しているなと思いました。理科の授業は、すごく楽しかったです。

■実験で楽しく酸性、中性、アルカリ性のことが分かりました。いろんな水溶液の実験をして、どの水溶液でどうなるのかが分かりました。二酸化炭素と水を混ぜると炭酸水になることや、アルカリ性の水溶液はたんぱく質を溶かすことなど知らなかったことがたくさん分かりました。その中でも一番驚いたことは、酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液をほぼ同じ量混ぜると、中和して中性になったことです。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると少し塩の味がする中性の液ができ、それを蒸発させると食塩だけが残りました。最後には食塩だけだったので驚きました。

■酸とアルカリの勉強で一番面白かったのは、「なぞの気体」という題名の実験です。その実験は、気体の入ったシャボン玉が空気中を上へ上って行く時に、マッチの火を近づけるとどうなるかという実験です。予想は、アが「大きくふくらむ」、イが「ボッと音をたてて消える」、ウが「空気中を下がり始める」でした。私はイの「ボッと音を立てて消える」にしました。この予想が当たっていれば、実験はすごくおもしろいのになぁ…と思いました。

箕野先生が、マッチを用意して実験が始まりました。そのとき私は、六年生になって、初めて理科の実験でワクワク、ドキドキしました。そして、初めて私もこの実験をやってみたいと思いました。でも、先生でないと危険なので、私たちはできませんでした。少し残念だったけれど、見ているだけでもすごくおもしろかったです。ついに、実験の結果が分かりました。それは、私が予想していたイの「ボッと音をたてて消える」でした。予想が当たっていたのですごくうれしかったし、本当に実験で「ボッ」と音をたてて消えたので、すごいなぁ…と思いました。

六年生に入って二学期から、「酸とアルカリ」という勉強で、すごく実験が楽しくなりました。もう、次の「酸とアルカリ」の勉強は、中学校の勉強になるので、中学校ではどんな勉強になるのか気になります。本当に六年生の理科のなかで「酸とアルカリ」の勉強が一番楽しかったです。(他の勉強ももちろん楽しかったけれど…)

 

■酸とアルカリを勉強してわかったことは、酸はすっぱくて、アルカリは苦いことです。塩酸は酸の中でも、危ないことがわかりました。水酸化ナトリウムは、酸でないことと危ないことがわかりました。でも10対10にして混ぜて熱すると塩が出てきますが、水酸化ナトリウムの方が多すぎると危険です。その実験をしたときは、あまりなめない方がいいと思います。それは、舌もたんぱく質があるかもしれないので、やめておいた方がいいと思いました。

塩酸の中にマグネシウムを入れて出てくる気体を使って、シャボン玉を飛ばし火を近づけるとどうなるかを実験しました。すると、「ボッ」と音をたてて消えてしまいました。わたしの予想とは、大きくちがいました。とても楽しかったです。

 

■僕は、理科があるとき、いつもうれしかったです。理科は、楽しいからです。理科で特に楽しかったのは実験です。箕野先生が、いつも楽しい実験を用意してくれるからです。初めの方は、いっぱい味見をしました。一番おいしかったのは、カルピスです。先生がカルピスをコップに入れてうすめて、それから飲みました。他にもレモンやいろんな味のする酢の味見もしました。楽しかったし、おいしかったです。

時々実験のない日もありました。その日はあまり好きじゃありませんでした。でも、実験がなくても色々なことがわかって良かったです。いろいろやってとっても楽しかったです。ぼくは、理科が好きでした。

■いろいろ勉強して楽しかったです。最初に酸のはたらきから勉強をして、クエン酸はどんな味がするかとか、リトマス紙の色をどんなふうに変えるかとかもしました。次に塩酸の勉強をして、銅像に塩酸をつける実験もしました。また、運動場で石灰石を探して、塩酸をつけたりしました。楽しかったです。

気体が二酸化炭素の場合、シャボン玉は上へ行くか、下へ行くかの実験をしたり、水素の場合には、上へ上っていくシャボン玉にマッチで火をつけると「ボッ」という音が鳴る実験とかもしました。いろいろ実験して楽しかったです。

蒸発皿で水溶液を熱するとどうなるかの実験をすると、白い粉が出てきて、それが食塩だったというのも楽しかったです。次にする理科も楽しみです。

■私はこの理科の実験はすごく楽しかったです。びっくりしたことがあったり、味を確かめたりもしました。びっくりしたことは、私の家にはキンカンがありますが、キンカンにアンモニア水が入っているということを知らなかったので、驚きました。もう一つ、このキンカンがアルカリ性だということに驚きました。

この理科では、味を確かめたりしたこともありました。クエン酸の味は、酸っぱい味がしました。りんご酸も酒石酸も、すっぱい味がしました。私は、カルピスは少し酸っぱい味がしたけれど、酸性だということは知りませんでした。他にも、この理科で学んだことはたくさんありました。この理科は、楽しく勉強できて良かったです。

■ぼくが酸とアルカリの勉強をして一番意外だった実験は、ペットボトルに水をいっぱい入れて、そこに二酸化炭素を入れてふたを閉めてペットボトルをふると、どうなるかという問題でした。ぼくは、別にどうもならないと思っていました。でも、ペットボトルはへこんでいきました。何でへこんだのだろうと思っていたら、二酸化炭素が水にとけ込んだからでした。その後、二酸化炭素の水溶液はどんな味がするのかの予想を立てました。ふつうの空気中にあるに二酸化炭素には味がないから、二酸化炭素の水溶液にも味がないと思っていました。でもすっぱい感じの味がしてびっくりしました。ほかにもいろんな実験をして、初めてわかったことや意外な結果になった実験もあって楽しかったです。

■酸とアルカリの勉強で、シャボン玉の実験がおもしろかったです。塩酸の中にマグネシウムを入れてシャボン玉を作ると、シャボン玉が上へ上へと上がっていくのがすごいと思いました。さらに、この作ったシャボン玉に火を近づけると、「ボッ」と大きな音が出てなくなったので、何でかなぁと思いました。次の説明を読んで、その気体は水素だったのです。水素とは「水の素」と書いて「水素」だそうです。他にも、酸とアルカリの味見とかができてよかったです。水酸化カルシウムを水に溶かすと、石灰水ができるのにもおどろきました。たぶん、今までやった理科の中で一番楽しかったと思います。中学校に行ったらこの勉強を(続き)するかわからないけれど、またやってみたいです。

■酸性とアルカリ性のことがよく分ってよかったです。実験も楽しかったです。とくに印象に残った実験は、アンモニア水の実験と、塩酸と水酸化ナトリウムの水溶液を混ぜると中性になるという実験と、その水溶液を熱すると食塩できるという実験です。アンモニア水はとてもキツイにおいがしました。塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜた液を勇気を出してなめると、しょっぱかったです。それを熱して白い残ったものをなめてみると、とてもしょっぱかったです。それは食塩でした。いろいろな実験ができてよかったです。

■僕は、理科の勉強をしていろいろなことがわかりました。分かったこととは、赤いリトマス紙はアルカリ性で青くなり、青いリトマス紙は酸性で赤くなることです。先生は、時々味見ができるものは味見をさせてくれました。おいしかったものがあったし、変な味がするものもありました。問題もあって、わくわくしながらこれかなと思って○をして、実験をし終わった後、当たっていたりまちがっていたりしてよかったです。箕野先生が楽しく実験をしてくれたので、僕も楽しく見ていました。また実験をしてほしいです。

■理科で楽しかったのは実験です。一番楽しかった実験は、金属をとかす実験です。また、酸性とアルカリ性を混ぜると、中性になるのは、びっくりしました。味見とかもできたし,子どもフェスティバルにも使えてよかったです。もっとこの勉強を続けてほしいです。